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研究詳細


概要

研究対象と手法

1. 変形岩の微細組織観察、変形機構の推定

 変形を被った主に地殻構成物質の微細組織観察から、粒子形態や各構成鉱物の分布などについて評価しています。下の図は領家帯内部剪断帯-大阪府岸和田地域の塑性変形を被った花崗岩の石英、長石集合領域の偏光顕微鏡像(左)と走査型電子顕微鏡-後方散乱電子像(右)です。
 下の図はEBSD分析による足助剪断帯の脆性変形を被った石英領域の微細組織(左)と結晶学的方位分布(右)です。微細組織に関する追加情報や変形機構を推定します。

2. 変形の進展による物質変化

 岩石が地下深くで変形を受けると、様々な変形度や変形様式を示す岩石が形成されます。そのときの物質変化について分析しています。

3. 実験による変形組織再現と変形パラメータの決定

 主に固体圧変形試験機を用いた変形実験により、変形組織を再現します。温度、圧力、歪速度、応力などの変形パラメータの関係性を評価します。このことから、実際の地球内部での変形特性について理解します。東北大学やTexas A&M 大学での研究成果です。

4. 岩石鉱物中に含まれる水の状態と分布の評価

 岩石鉱物中には ”水” がH2Oだけではなく、-OHとして含まれます。このような水が岩石鉱物の反応に寄与したり変形を促進させます。そこで赤外分光法を用いて、実際の岩石鉱物中の水がどれくらい存在しているのか(量)や実際の地球内部での条件での存在状態について評価しています。

5. 岩石鉱物中の水の拡散性の評価

 4と関連して、実験的に水の拡散性を評価しています。

6. 岩石模擬物質を用いた組織発達観察

 地下深部では何千年、何万年とかけて岩石組織が変化していく場合があります。しかしながら、その組織変化は非常にゆっくりであり、地下深部であるため、当然ながら、どのように変化していくのかは観察することはできません。そこで、岩石模擬物質として有機物質を用いて、顕微鏡下でその組織変化をリアルタイムで観察しています。以下の動画は有機物質として樟脳を用いた実験です。200倍の速度に編集しています。岩石にとっての数千年、数万年の現象が1時間程度で再現できます。